プロジェクト概要

分子ロボティクスのような先端技術が社会的に受け入れられるためには、将来的に起こる諸問題をできるだけ早い段階で認識し、議論を進めておくことが大切です。「人間のサイボーグ化」を含めて、現時点ではSFと思われるような題材についても、社会科学および人文科学の観点から重要と思えるテーマについてはできるだけ広く網羅し、現在開発中の技術との関係性、発展可能性、社会的課題および技術的課題について、技術面、社会面の双方から議論を進め、正しい認識に基づく理解と提言を積み重ねていくことが肝要と思います。

先端技術に対する潜在的不安を取り除くことは、分子ロボティクスを社会に受け入れられる技術に育てていく上で必須の条件であります。分子ロボティクスの場合、dual use技術としての側面もあり、問題をはっきりさせた上で議論を積み重ねていくことが肝要と考えています。重要なことは、開発か禁止かの2択ではなく、どのような目的に対してはどのレベルまで許すのか、あるいはどのような条件であれば認めるか、というように、機能レベルを明確化し、機能レベルに応じた開発規範をつくることが大事です。先端技術開発はともすれば理系の研究者コミュニティの中だけで議論されることが多く、社会技術の観点からの議論はなおざりにされがちです。「分子ロボティクス」を正しく理解するためには広範囲な技術に対する理解が必要であり、社会技術的な議論をすすめるためには、倫理、哲学、イノベーションなど社会科学あるいは社会技術の専門家との議論ならびにコミュニティの形成が不可欠であります。

分子ロボティクスは生化学、生物物理学、制御学、情報学など様々な分野の境界領域に位置しているため、学問としての体系化は未だ十分なされてはいません。技術の体系化はともすれば、技術シーズ中心になりがちですが、このような体系化ではモノはできても、それが社会に対してどのように影響するかについては見えてきません。このような観点から本調査研究では、分子ロボティクスに関連する技術をシーズ中心ではなく、人を中心とした技術として体系化することにより、人と社会になじみやすい分子ロボティクス技術の分析を進めました。

上記に述べた課題抽出と技術分析を進め、分子ロボット倫理に関する公開研究会および国際会議を開催しました。また、分子ロボティクスに積極的に関与して頂ける人文社会、社会技術関係および医薬学関係の研究者と共に、研究開発提案書を策定しています。

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