第8回分子ロボット倫理研究会 (2019年6月25日 福岡)開催報告
第8回分子ロボット倫理研究会
共催 SICE分子ロボティクス研究会
日時 2019年6月25日
場所 福岡県九州工業大学サテライト福岡天神
今回の合同研究会では,1件の特別講演と5件の一般講演(分子ロボティクス研究会3件,分子ロボット倫理研究会2件)がなされました.
分子ロボティクス倫理研究会と分子ロボティクス研究会の合同研究会は,開催を重ねるごとに,議論が深まっており,質疑応答においても,
研究そのものに対する意見交換だけでなく,倫理的な側面での意見交換も自然に行われるようになっていることが印象的であった.
最後に,引き続き,分子ロボット倫理について,時間をかけて議論を続けていくことの重要性が確認されました.
第8回分子ロボット倫理研究会(2019年6月25日,九州工業大学サテライト福岡天神)
第8回分子ロボット倫理研究会
共催 SICE分子ロボティクス研究会
日時:6月25日(火)13:30(13:00 受付開始)~ 17:00
場所:九州工業大学サテライト福岡天神(天神イムズ11F)
〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1丁目7-11
*天神駅徒歩3分
参加費:無料
<プログラム>
13:00-13:30 受付
13:30-13:40 開会の挨拶
13:40-14:20 特別講演:本物の微小循環器系が利用できるナノロボコン用実験プラットホーム
川原知洋 先生(九州工業大学)
[要旨]ニワトリ胚は動物実験の制約が小さく,安価で,黄身で育つといった利点がある反面,卵殻により観察と操作が制限される.そこで我々は,工学的な観点から設計したキューブ型の透明人工殻内で胚を10日間以上に渡って培養しながら,自在な観察と操作が行なえる実験プラットホーム(Egg-in-Cube)を開発してきた.本発表では,人工殻にロボット技術を積極的に導入し,実際の血管中に微粒子を注入して経時観察を行った例などについてご紹介する.
14:20-15:00 講演:ネットワークシステムの構造的安定性
東俊一先生(名古屋大学)
[要旨]分子ロボットの動きを司る制御器は,生化学反応ネットワークとして実装されるが,実際には,部品の不確実性により,設計者が思った通りに制御器を実装することが困難であることが予想される.それゆえ,未知の部品を適切に接続することで所望の機能を達成する枠組みが必要である.本講演では,そのようなことを実現するための枠組みとして,ネットワークシステムの構造的安定性に関する講演者らの成果を紹介する.
15:00-15:20 休憩
15:20-15:40 講演:ナチュラルコンピューティングにおける理論的計算モデルと問題解法
藤原暁宏先生(九州工業大学)
[要旨]ナチュラルコンピューティングは,自然界における様々な性質や原理を計算に用いる計算パラダイムである.このナチュラルコンピューティングはいくつかの側面があり,その一つは,DNA 計算や膜計算などのように,生態系を並列処理システムのハードウェアとみなし,このシステムを統合的に制御して解を求める,計算モデルとしての捉え方である.本発表では,ナチュラルコンピューティングにおける理論的計算モデルと問題解法について,具体的な研究例を用いて説明を行う.
15:40-16:00 講演:DNAコンピューティングにおけるサイバーセキュリティ面からの考察
金子晃介先生(九州大学)
[要旨]DNAコンピューティングの分野では,DNAを素材として利用して計算を行なっている.本発表では,サイバーセキュリティの視点から,DNAを利用した計算手法を考察することで,DNAコンピューティングに必要なセキュリティの要素を参加者の方々と議論する.
16:00-16:20 講演:分子ロボット技術の適正使用のための倫理・安全の枠組み:研究開発ガイドライン策定に向けて
河原直人先生 (九州大学)
[要旨]演者は,これまで有志らと議論を重ねながら「分子ロボット技術に関する倫理綱領」の策定に従事してきた.この経験をふまえ,今後,分子ロボット技術の適正使用のための実践的な研究開発ガイドライン策定を目指していきたいと考えている.化学物質の場合,その全ライフサイクルに及ぶ規制の整備がなされており,例えば,化管法に基づく安全データシートの記載項目は,組成及び成分情報,物理的及び化学的性質,安定性及び反応性,有害性,取扱及び保管上の注意事項,環境影響情報など,多岐に及ぶ.他方,カルタヘナ法の俎上にあっては,利用対象となる遺伝子組換え生物等の位置付けが明確に示されたうえで,その使用形態に応じた拡散防止措置の詳細が規定されている.それでは,分子ロボット技術を用いた研究開発にあっては,いかなる評価・規制に係る対応を講じていくべきなのか ─ 本発表では,広範な可能性を秘めた分子ロボット技術の特性に照らして,当該分野の適正使用のための倫理・安全の枠組みについて考察したい.
16:20-16:40 講演:分子人工膵島細胞開発の現状と倫理的課題
小長谷明彦先生(東京工業大学)
[要旨]科研費基盤(A)「分子ロボティクスによる糖尿病モデルマウス血糖値制御法の研究」では,リポソームそのものに感覚(グルコース検出),知能(グルコース検出から膜張力変化への変換),運動(ペプチドホルモン放出)の機能を付加した分子人工膵島ロボットの創製を目指している.本講演では,このような分子ロボットの可能性と議論すべき倫理的課題について論じる.
参加を希望される方は,下記フォームを
連絡先:九州工業大学 中茎
メール:nakakuki[at]ces.kyutech.ac.jp([at]を@に書き換えてください)
まで,メールにてお送りください.
– – – – 研究会参加連絡フォーム(送り先:nakakuki[at]ces.kyutech.ac.jp) – – – –
氏名:
所属:
・懇親会(17時頃より博多天神付近)に 参加する / 参加しない (不要な方を削除願います)
・備考欄(任意):
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第2回分子ロボット倫理シンポジウム(2019年3月16日,東工大大岡山キャンパス)
第2回分子ロボット倫理シンポジウム
併催 第2回分子ロボティクス年次大会
■日時: 2019年3月14日(木),15日(金)
■場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス ディジタル多目的ホール
(大岡山駅より徒歩3分)東京都目黒区大岡山2丁目12-1
■技術交流会(懇親会):3月14日(木)講演会後,同会場にて
■宿泊: 各自ご手配ください.
■主催: 計測自動制御学会 システム情報部門 知能分子ロボティクス調査研究会(主査 瀧ノ上正浩)
分子ロボティクス研究会(代表 瀧ノ上正浩)
■併催: 科学技術振興機構 分子ロボットELSIプロジェクト(分子ロボットELSI研究とリアルタイム技術アセスメント研究の共創 代表 小長谷明彦)
■基調講演:田口 英樹 先生(東京工業大学 科学技術創成研究院)
併催・分子ロボット倫理シンポジウム
■特別講演:吉澤 剛 先生(Oslo Metropolitan University, Norway)
■特別講演:河原 直人 先生(九州大学 病院ARO次世代医療センター)
■参加登録・発表登録について
こちらのページをご確認ください.
■発表形式:口頭発表またはポスター発表どちらの形式で発表希望かを選択してください.(希望多数の場合は調整させていただきます)
*口頭発表は質疑含んで15分程度を予定(申込件数により変わることがあります).
*ポスターはA0縦長サイズ以内.
■分子ロボティクス若手奨励賞について
学生,および,博士学位取得後10年以内の若手研究者の口頭/ポスター発表を対象(本賞の受賞経験のない方)に,分子ロボティクス若手奨励賞(2名程度)を選考します.奮ってご応募ください.
【基調講演・特別講演要旨】
■基調講演:田口 英樹 先生
講演タイトル:「分子シャペロン研究から「新生鎖の生物学」へ」
タンパク質科学の基本は、生命のセントラルドグマに従って産み出されたポリペプチド鎖がアミノ酸配列によって規定される立体構造を形成(フォールディング)して機能を発揮する、というものである。フォールディングは常に失敗の危険にさらされているので、細胞の中では種々の分子シャペロンが精妙な仕組みでフォールディングを助けている。さらに、アミノ酸配列はフォールディング情報のみならず、自らが産まれてくる翻訳過程を制御して機能を調節する場合があることもわかってきた。本講演では、私たちが進めてきたシャペロンの分子機構や翻訳途上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)の生物学を紹介し、分子ロボティクスの研究者と議論を交わしたい。
■分子ロボット倫理シンポジウム・特別講演:吉澤 剛 先生
講演タイトル:「分子ロボティクスのモビリティと公共性」
今世紀に入り、テクノロジーアセスメントはイノベーションや倫理という社会的・政策的要請に十分応えられていないという批判を受け、先進国の財政難とグローバル経済の激化にあってその制度的な存続が脅かされつづけてきた。一方、科学技術ガバナンスの主体は政府や企業、大学にとどまらず、様々なアクターによって担われるようになり、責任ある研究・イノベーションの名において各主体への責任の適正な分配が求められている。分子ロボットは自律的・可動的・可変的性質があり、幅広い学問分野と応用領域にまたがる。また、一般の想像力を喚起しやすいことから計算論的、メディア的、社会的に多様な表象がなされている。本講演では分子ロボティクスのモビリティを捉え直すことで、新たな公共性の構築に向けた倫理やイノベーションのあり方について議論する。
■分子ロボット倫理シンポジウム・特別講演:河原 直人 先生
講演タイトル:「分子ロボット技術の倫理的視点と議論の方向性」
今般、分子ロボット技術に関する学際的な各種の取組みが本格化している。分子ロボット技術をめぐっては、感覚、知能、運動、構造に係る要素技術を確立させてきたが、それらの連関・統合化、分子レベルの設計原理に基づく自己集合・自己組織化に関する知見もまた、今後、当該分野の倫理的な枠組みを考えていくうえで重要なポイントとなるだろう。
演者はこれまで、合成生物学、ロボット工学、人工知能等の近接分野の倫理に関する議論を参照しつつ、有志らと「分子ロボット技術倫理綱領(第1.0版)」を策定し、上述の事柄をふまえた議論を国内外の研究者らと重ねてきた。当該分野には、従来の方法論ではなし得なかった、新たな物質・情報・生命観に根差したシステムの地平が拓かれることが期待されている。それはまた、責任あるイノベーションを社会に展開させていくための理論的基盤にもなり得るものである。今回は、これまでの経緯から、今後必要と考えられる倫理的な視点、そして、議論の方向性について述べてみたい。
◯第2回分子ロボティクス年次大会
大会実行委員長:瀧ノ上正浩(東京工業大学)
プログラム担当:川野竜司(東京農工大学)
会場担当:小宮健(東京工業大学),藤原慶(慶應義塾大学)
会計担当:堀豊(慶應義塾大学)
若手奨励賞担当:堀豊(慶應義塾大学),川野竜司(東京農工大学)
運営委員:佐藤佑介(東京工業大学)
◯お問い合わせ
実行委員長 瀧ノ上 正浩(東京工業大学 情報理工学院)
事務局 office.molbot2019[at]sci.jpn.org
第1回分子ロボット倫理若手の会 開催いたします
12月14日(金)15:00~17:00
第1回分子ロボット倫理若手の会の初顔合わせを田町CIC 506号室にて開催いたします。
第7回分子ロボット倫理研究会(2018年11月23日,慶應大学矢上キャンパス)
第7回分子ロボット倫理研究会
共催 人工知能学会SIGMBI研究会
SICE分子ロボティクス研究会
開催日 11月23日(金)9:20-12:00 15:00-17:00
開催場所 慶應義塾大学矢上キャンパス
参加登録先 https://www.ai-gakkai.or.jp/sigconf/sigconf2018/registration/
テーマ:分子ロボティクスの医薬応用への可能性を探る
プログラム
9:20-10:00 分子ロボットを”Beyond the Pill”の視点から考える
○小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
近年、製薬業界では“Beyond the pill”というコンセプトが”個別化医療”や”AI創薬“と並んで今後の製薬ビジネス展開において重要なキーワードとして認識されつつある。従来型の薬開発では今後、投下資本収益率が低くなるという見通しから、情報通信技術(ICT)を活用したデジタルヘルスケアを含む革新的創薬技術へのパラダイムシフトが模索されている。現在の創薬の問題点の一つはバイオテクノロジー技術によって作られた生物学的製剤のように一部の疾患には有効であるが非常に高価な薬が増えてきていることにある。分子ロボット技術を活用することで様々な状況において適切に判断し、適切な処方をする「スマートな薬」を作ることはできないだろうか?
10:00-10:40 招待講演1:膵島移植・再生療法の現状と展望
○野口洋文 (琉球大学大学院医学研究科,再生医学講座)
局所麻酔下にて膵島を注入する「膵島移植」は糖尿病に対する治療法のひとつとして実施されている。日本では2004年に我々のグループが臨床膵島移植を開始し、良好な成績を収めているが、深刻なドナー不足の状況にあり膵島移植の恩恵を受けられる患者はごく限られている。また、インスリン離脱を達成するには複数回移植が必要であり、膵臓移植よりもドナーを多く必要とする点が問題である。そのため、再生医療研究が活発に行われているが、インスリン分泌細胞への分化誘導法が確立されておらず、いまだ研究段階であるのが現状である。本研究会では膵島移植の現状と問題点を示すとともに、最先端の糖尿病治療研究について紹介する。
10:40-11:10 DNAナノテクを用いた細胞モデルの力学的制御
○柳澤実穂 (東京農工大学,物理システム工学専攻)
細胞膜モデルとして汎用されるリン脂質膜小胞(リポソーム)は、その高い生体適合性ゆえに、内包した薬剤を輸送する医薬品(ドラッグデリバリーシステム)や化粧品の材料として広く汎用されてきた。しかし、従来の膜のみからなるリポソームは、膜が外部との浸透圧差等によって壊れやすく、中身が漏出しやすいという問題があった。我々は最近、DNAナノテクノロジーにより細胞骨格様の構造を膜へ付与することで力学的に補強し、壊れにくくすることに成功した。本研究会では、DNAナノ構造の付与による細胞モデルの力学的制御法について紹介する。
11:10-11:40 自律性をもった超分子ナノ構造体の創製
○池田将 (岐阜大,化学・生命工学科)
分子レベル、ナノスケール、マクロスケールなど各階層における、構造と性質の相関を解明し制御することは、新たな機能を有する材料の設計につながる。我々は、特定の環境に応答する化学反応性人工有機分子部位を生体分子に組み込む精密な分子設計に基づき、生体環境においても自律的に機能制御される新しい超分子ナノ構造体の開発を目指している。本講演では、環境に応答して構造変化するペプチドおよび核酸からなる超分子構造体に関する最近の研究結果を報告する。
11:40-12:00 リポソーム膜に局在可能な機能性DNAオリガミの開発
○川又生吹 (東北大学,ロボティクス専攻)
リン脂質の二重膜でできたマイクロサイズの小胞(リポソーム)は薬物キャリアとしての応用が期待されているものの、膜のバリア能が大きいため目的サイズの分子を通過させる人工の孔をあけることは困難である。
本発表では、合理設計された筒状DNAオリガミナノ構造をリポソームに局在化させ、蛍光分子をリポソーム内外へ通過させる技術を紹介する。
さらに特定条件下で薬物を放出するスマートなドラッグデリバリーのモデル系へ発展させるために、分子シグナルに応答して開閉可能な蓋を備えた機能化DNAオリガミの開発に関する最近の研究結果を報告する。
13:20-14:30 【合同企画】優秀賞記念講演(シンポジウムスペース)
15:00-15:20 ベクシル凝集体の形状の数理モデルによる解析
○梅田民樹 (神戸大学,海事科学研究科)
水中で脂質が形成する袋状二分子膜をベシクルと呼ぶ。ベシクルは大きさが数十nmから数百mmで,構造や大きさが生体膜と類似していることから生体膜モデルとして注目されているとともに,薬物送達運搬体としての利用など医療面での応用例も報告されている。ベシクルは浸透圧により,また,タンパク質の作用で様々な形状変化を起こすが,その形状は原理的には膜の弾性に基づく数理モデルで説明可能と考えられている.本講演では,近年,応用面でも注目されているベシクルを連結させたベシクル凝集体に着目し,その形状の数理モデルによる解析の試みについて報告する。
15:20-15:40 DNAオリガミ全原子モデルのMDシミュレーション
○我妻竜三, 小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
本講演ではドラッグキャリアとして開発応用研究が進められ始めたDNAオリガミの全原子シミュレーションの基礎的な手法を紹介します。DNAオリガミはM13ファージの単鎖DNAに20ー30塩基のステプル配列を混合して生成するナノ構造体であり、様々なキャリア構造が試験されています。こうした構造特性の評価には従来CanDoのように剛体系モデルが使用されてきました。これに対して、われわれの開発した全原子シミュレーションでは溶媒中のイオン環境と実験観察条件に使用されているマイカ基板の存在下における高精度の分子ロボット設計と動特性の予測評価に使用することができるという特徴があります。
15:40-16:00 Experimenting with Molecular Objects in Virtual Reality
○Greg Gutmann, 小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
Alongside of the recent efforts by biologists to design molecular machines, we have been developing a virtual reality (VR) system to be used in prototyping new ideas and testing. The motivation comes from the challenges involved with directly viewing and visualizing matter at the nanometer level, and the time required for traditional simulation runs. By using our VR system, we can visualize and interact with the simulated molecular objects as if they were the size of the real-world objects that we interact with daily. In addition, parameters can be tuned live. However, there are some challenges when using physical interactions with soft matter. For example, on interaction it takes time for the users force on the object to propagate across the material. We have been testing solutions such as decreasing the time steps and using alternative methods of propagating the hands forces which will be looked at here.
16:10-16:30 Haptic Interaction for Hand Tracking 3D User Interface
○ Arif Pramudwiatmoko, 小長谷明彦 (東京工業大学,情報理工学院)
Hand tracking 3D user interface provides natural hand interaction with virtual objects in a computer simulation environment. We have implemented haptic rendering facilities into the hand tracking user interface. Small finger clamping and vibrating devices were attached to each finger to provide feedback when the hand touched an object in the simulation. Implemented using three different graphic frameworks, we postulated haptic feedback on molecular objects into vibration frequency, vibration amplitude, and pressure strength parameters. Our implementation has succeeded in providing a nuance to grip molecular objects in an immersive virtual reality environment.
16:30-17:00 量子ナノ材料による移植幹細胞in vivoイメージングと再生医療への貢献
○湯川博 (名古屋大学,先端ナノバイオデバイス研究センター)
我々は、量子サイズ効果に基づく非常に優れた光学特性から通信・映像(4K・8Kディスプレイ)分野において既に実用化されている量子ドット(QDs)に注目し、再生医療における移植幹細胞in vivoイメージングに取り組んできた。本手法は、幹細胞や再生細胞を移植する再生医療の数多の領域に応用展開が可能であり、これまで不明であった移植後の幹細胞・再生細胞の生体内動態を明らかにしつつある。本講演では、これまで確立してきた量子ナノ材料によるiPS細胞イメージング技術に加え、最新の成果として、AMEDからの支援による再生医療実現拠点ネットワークプログラム技術開発個別課題の共同研究成果についても紹介したい。
The 2nd International Symposium on Molecular Robot Ethics (Oct. 9th, 2018 )☆参加登録受付開始しました☆
CBI2018年次大会において第2回分子ロボット倫理国際シシンポジウム(参加費無料)を開催いたしました。多数のご参加ありがとうございました。
The 2nd International Symposium on Molecular Robot Ethics
Date & Time: 9th Oct. (Tue), 2018 14:00-17:30
Place: Small Conference Room, 5th Floor, Tower-Hall Funabori, Tokyo
Organized by JST HITE projects of Co-creation of Molecular Robot ELSI and Real-time Technology Assessment Research and Co-Creation and Communication for Real-Time Technology Assessment (CoRTTA) on Information Technology and Molecular Robotics/Supported by SICE Molecular Robotics Research Group
Molecular Robotics, an emerging interdisciplinary research field among robotics, chemistry and biology has attracted interest from the viewpoint of future technologies potentially applicable to intelligent drug delivery system and artificial muscle for cancer therapy and regenerative medicine, to name a few. This conference focuses on the ethics and technology assessment aspects of molecular robotics. The topics of interest includes comparison between molecular robotics and systems biology ethics, molecular robot guideline, responsible research and innovation and dual use issues in emergence technology, but not restricted to.
Program:
Moderator: Ryuma Shineha (Seijo University)
14:00-15:30 <Molecular Robotics, ELSI and TA session>
Opening Remarks
Molecular Robotics: Its Concept, Technology and Ethics
Akihiko Konagaya (Tokyo Institute of Technology)
Molecular robotics enables us to develop molecule-based movable molecular robots with sensors and intelligence. Several molecular robot prototypes including intelligence drug delivery systems and artificial muscles are being developed, so far. Emergence of such molecular robots raises new research issues with regards to ethics and technology assessment. In order to cope with these issues, we firstly announce the Ethical Principles of Molecular Robotics.
Safety engineering by synthetic biology
Daisuke Kiga (Waseda University)
Emerging technology can pose an increased risk, but at the same time can aid in the development of safety technology. This topic has been discussed within Synthetic biology from its early days. Recently, engineering of genetic code has shown proof of concept in various containment technologies. I would like to introduce discussion in a genome synthesis conference, and to discuss future safety engineering within artificial cell research.
Designing RRI after ELSI: To whom are we responsible?
Erika Szymanski (The University of Edinburgh, UK)
15:30-16:00 Break
16:00-17:30 < Interdisciplinary Technology Assessment session>
Japanese Perspectives on Molecular Robotics: Formulating Ethical Principles of Molecular Robotics (ver. 1.1)
Naoto Kawahara (Kyushu University)
In Japan, research and development of molecular robotics has been promoted, taking advantage of an important elemental technology concerning senses, motions and intelligence. More complicated configurations of systems in molecular robotics are conceivable, which will be applied to informatics, engineering, chemistry, biology and medicine in near future. In this context, I examined the related ethical principles, codes, guidelines, etc. with my research colleagues. Then, we formulated the ethical principles of Molecular Robotics (ver. 1.1).
On governing risks of emerging technologies: Exemplary cases and cautionary tales from synthetic biology
Kenneth Oye (MIT Political Science, USA)
To inform deliberation on prospective responsible innovation in molecular robotics, this talk will turn to analysis of best and worst historical cases.
• First, a look back at past emerging technologies finds that contemporaneous forecasts of beneficial applications and adverse effects failed. Uncertainty over the development, application, diffusion and effects of emerging technologies is pervasive.
• Second, in the presence of pervasive uncertainty, adaptive approaches to risk governance provide a superior alternative to traditional permissive and precautionary approaches, albeit with practical problems in implementation.
Illustrations will be drawn from retrospective studies on the automobile, laser and GPS and from current cases on aircraft, pharmaceuticals and synthetic biology.
Interdisciplinary technology assessment – practice and outlook for responsible molecular robotics
Stephan Lingner (EA European Academy of Technology and Innovation Assessment, Germany)
The idea of Molecular Robotics is designed as a new technology with the motivation to create new options for e.g. easing human life and supporting health. The current developments are mainly put forward by scientists at the intersection between molecular biology and bioengineering. These disciplines are on one side expected to enable high-level research towards the realisation of molecular robots with ambitious capabilities. On the other side, the mentioned professions are to a large extent blind with respect to the full spectrum of societal consequences of their developments and related applications. Molecular robots needs – as any new development – for broad social acceptability and desirability in order to become a welcomed and marketable innovation. And this is the point where other professions like economics, social sciences and ethics come in to investigate and assess the chances and risks of molecular robots for society. Corresponding isolated reflections, however, dare to lose grounds by ignorance or poor understanding of the complex techno-scientific developments at stake. The reflective assessments should therefore ideally integrate the relevant bio-scientists and engineers into an interdisciplinary effort, instead.
Correspondingly, the EA European Academy developed an efficient framework for the analysis and assessment of new or emerging technologies and their potentials and government for human society. This framework has been successfully practiced since 22 years within more than 45 assessment projects (e.g. on robotics, nanotechnology and synthetic biology) for national ministries and trusts as well as for the European Commission. Basic features of this framework are: coordinated regular experts’ discourses within interdisciplinary working groups, moderate project lifetime (2-3 years), mutual acknowledgement of participating disciplines and related arguments, rational and impartial investigations, joint consent on appraisals and on recommendations for the actor’s level.
The above mentioned assessment framework will be illustrated in more detail and referred to the issue of Molecular Robotics. The talk will conclude with an outlook on possible questions for corresponding interdisciplinary investigations on this issue.
Closing Remarks
Hideaki Shiroyama (The University of Tokyo Graduate Schools for Law and Politics, Japan)
Ethical Principles of Molecular Robotics (ver. 1.1)
分子ロボット技術倫理綱領第1.1版
(First Edition, 8th August, 2018)
(2018年3月5日作成)
(2018年8月8日案 改訂)
Preamble
Nowadays, it is an issue of extreme importance to establish an ethical framework with a new view of material, information and life according to a technological development. With ever-increasing progress in creativity and ingenuity of technology, new devices and systems appear continuously. However, there are concerns about the ethical scope of molecular robotics. In Japan, research and development of molecular robotics has been promoted, taking advantage of an important elemental technology concerning senses, motions and intelligence. More complicated configurations of systems in molecular robotics are conceivable, which will be applied to informatics, engineering, chemistry, biology and medicine in the near future. In this context, we formulate the following ethical principles. We also request any person who engages in molecular robotics to comply with these principles.
今般、技術開発の進展に伴い、新しい物質・情報・生命観を想起し、倫理の枠組みを社会の中に確立させていくことは重要な課題といえよう。 モノづくりが進化し、これまでになかったデバイスやシステムが次々と現れる一方、分子ロボット技術の倫理的課題も多岐に及ぶ。わが国の分子ロボット技術は、感覚、運動、知能が重要な要素として捉えられ、それぞれの要素技術を活かした研究開発が進められているところである。将来的に、分子ロボット技術は、より複雑な構成が実現可能になるとともに、情報学、工学、化学、生物学、そして、医学・医療などに応用されることが予想される。このような背景において、私たちは、以下の倫理綱領を定めるとともに、分子ロボット技術に携わるすべての者にその遵守を求めるものである。
Ethical Principles
1.Comprehensive assessment of risks and benefits
▶ Any person who engages in molecular robotics shall make a comprehensive assessment of potential harm for human beings or the environment as well as predicted risks and benefits. Then they shall also take measures to minimize those burdens and risks.
リスク・ベネフィットの総合評価
▶ 分子ロボット技術に携わる者は、その技術の複雑化とともに、人間・環境への負担ならびに予測されるリスク及び利益についての総合的な評価を行うとともに、それらの負担及びリスクを最小化させ得る対策を講じなければならない。
2.Consideration for safety and environment
▶ Any person who engages in molecular robotics shall take containment and safety measures for the environment. This includes ethical responsibility and consideration for future generations.
安全と環境への配慮
▶ 分子ロボット技術に携わる者は、環境への拡散防止のための措置、安全の確保に向けた取組を行う必要がある。これは、将来世代に対する責任と配慮を含む。
3. Paying attention to security and dual-use issues
▶ Any person who engages in molecular robotics shall investigate security measures in consideration of physical, personnel, transport, material, and information aspects. They shall also pay attention to dual-use issues.
セキュリティとデュアルユース問題への留意
▶ 分子ロボット技術に携わる者は、物理的・人的な観点のみならず、輸送や材料管理、情報の観点も考慮したセキュリティ対応を検討するべきである。併せて、デュアルユースに関する問題にも注意を払う必要がある。
4. Ensuring accountability and transparency
▶ Any person who engages in molecular robotics shall ensure accountability and transparency for the public good, making progress of the research and development rooted in social justice.
説明責任と透明性の担保
▶ 分子ロボット技術に携わる者は、社会正義に根ざした研究開発を進展させるにあたり、公共への説明責任と透明性を担保しなければならない。
The above principles will continue to be revised as needed.
以上、この倫理綱領は今後も必要に応じて見直していくものとする。
「分子ロボットは人類にとって敵か味方か?」(2018年10月11日、CBI年次大会ランチョンセミナー、タワーホール船堀、東京)
CBI年次大会で下記のランチョンセミナーを開催します。奮ってご参加ください。《CBI年次大会への参加登録が必要です》
「分子ロボットは人類にとって敵か味方か?」
日時:2018年10月11日(木)12:00~13:30
場所:タワーホール船堀、東京都
小長谷明彦(東京工業大学)
河原直人(九州大学)
標葉隆馬(成城大学)
Erika Szymanski (The University of Edinburgh, UK)
Kenneth Oye (MIT Political Science, USA)
Stephan Lingner (EA European Academy of Technology and Innovation Assessment, Germany)
分子ロボットとはDNAナノ技術を活用して運動・感覚・知能を持つ生体素材のロボットを作り出すことを目指す萌芽的学術分野である。この技術が実用化された場合の応用可能性は大きなものがあるが、同時にそれによってもたらされる負の影響も膨大なものとなる可能性がある。このようなジレンマを乗り越えて研究実践を継続するために、我々は倫理分野や社会科学分野の専門家とも協同して、分子ロボット倫理原則の草案を検討してきた。本セミナーでは、分子ロボット技術の現状についてのテクノロジーアセスメントを共有した後、我々の倫理原則草案を発表する。発表された草案をどのように改善するかをめぐって、フロアを交えて活発な議論を行いたい。
The 2nd International Symposium on Molecular Robot Ethics (Oct. 9th, 2018)
The 2nd International Symposium on Molecular Robot Ethics
分子ロボット倫理研究会、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、国立研究開発法人科学技術振興機構社会技術研究開発センター(HITE)
日時:2018年10月9日(火) 14:00-17:30
場所:タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1)参加費無料
*10月11日(木)ランチョンセミナー「分子ロボットは人類にとって敵か味方か?」についてはこちらをご覧ください。
Molecular Robotics, an emerging interdisciplinary research field among robotics, chemistry and biology has attracted interest from the viewpoint of future technologies potentially applicable to intelligent drug delivery system and artificial muscle for cancer therapy and regenerative medicine, to name a few. This conference focuses on the ethics and technology assessment aspects of molecular robotics. The topics of interest includes comparison between molecular robotics and systems biology ethics, molecular robot guideline, responsible research and innovation and dual use issues in emergence technology, but not restricted to.
Program
Moderator: Ryuma Shineha (Seijo University)
14:00-15:30
Opening Remarks
Molecular Robotics: Its Concept, Technology and Ethics
Akihiko Konagaya (Tokyo Institute of Technology)
Safety engineering by synthetic biology
Daisuke Kiga (Waseda University)
Designing RRI after ELSI: To whom are we responsible?
Erika Szymanski (The University of Edinburgh)
15:30-16:00 Break
16:00-17:30 < Interdisciplinary Technology Assessment session>
Japanese Perspectives on Molecular Robotics: Formulating Ethical Principles of Molecular Robotics (ver. 1.1)
Naoto Kawahara (Kyushu University)
On governing risks of emerging technologies: Exemplary cases and cautionary tales from synthetic biology
Kenneth Oye (MIT Political Science, USA)
Interdisciplinary technology assessment – practice and outlook for responsible molecular robotics
Stephan Lingner (EA European Academy of Technology and Innovation Assessment, Germany)
Closing Remarks
ランチョンセミナー
「分子ロボットは人類にとって敵か味方か?」
Luncheon Seminar “Is molecular robotics a friend or foe of the human being?”
10月11日(木) 12:00-13:30
*当ランチョンセミナーへのご参加には、CBI学会2018年次大会への参加登録が必要です。
CBI学会2018年次大会サイトもご覧ください。(English Site)
第6回分子ロボット倫理研究会(フォローアップワークショップ)(2018年7月28日,東工大田町CIC)
分子ロボティクス分野は萌芽的な先端領域であるが故に、その領域が持つ倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal, and Social Implications: ELSI)を論じることは容易ではない。そこで欧州を中心に議論されている「責任ある研究・イノベーション(Responsible Research & Innovation: RRI)」の観点から、どのような状態が達成されれば分子ロボティクス分野におけるRRIが実現されるのかについて洞察ワークショップでは、過去にELSIについて検討を行った事例の検討と共有を基盤として、分子ロボティクスがどのような社会的インパクトを持ちうるかについて想像し、実際に研究開発に関わる研究者、政策担当者、ジャーナリストらと議論を行うことで論点抽出を行った2月のワークショップのフォローアップを行う。
「分子ロボットRRI原則および洞察ワークショップに関するフォローアップワークショップ」(第6回分子ロボット倫理研究会)
日時:2018年07月28日(土)10:00-14:00
場所:東京工業大学田町CIC 5F507
参加費:無料(事前の登録をお願いします)
ワークショップ世話人:
小長谷 明彦(東京工業大学)
講演会「分子ロボティクス:これまでの成果と創薬応用への可能性について」
***第394回CBI学会講演会のお知らせ***
現在、参加登録受付中です。
「分子ロボティクス:これまでの成果と創薬応用への可能性について」
日時: 2018年5月18日(金)13:30-17:30
場所: グランフロント大阪 ナレッジキャピタル(大阪市北区大深町3-1)
北館タワーC 9階 VisLab OSAKA
世話人: 小長谷明彦(東京工業大学)
参加登録・プログラム詳細はCBI学会講演会サイトをご覧ください