分子ロボティクスの医療応用に向けて、多機能性リポソームを用いた血糖値制御法に関する研究が科研費基盤Aに採択されました。3年間で、マウスへの投与実験を目指して研究を進めたいと考えています。
毎年恒例のAISTでのSIG-MBIにおいて、小長谷が「新学術領域「分子ロボティクス」の成果と今後」と題して講演しました。分子ロボティクスについて最初に講演したのは2013年3月のSIGMBIでしたが、その時のスライドを用いながら5年間の進捗と成果をアピールしました。
また、渡邊健太君が修論のテーマである「セマンティックネットワークを活用した医薬文書理解システムの構築」について講演し好評を得ました。
プログラムおよびアブストラクトについてはこちらをご覧ください。
JSTプロジェクト企画調査「分子ロボット技術に対する法律・倫理・経済・教育からの接近法に関する調査(小長谷)」の一環として、下記のシンポジウムを開催しました。
1st International Symposium on Molecular Robot Ethics
13:30-17:35 March 13th, 2017
Koshiba Hall, The University of Tokyo
同じく、JSTプログラム調査研究に採択された「リアルタイム・テクノロジーアセスメントのための議題共創プラットフォーム試作(標葉)」の吉澤先生のご協力により、テクノロジーアセスメントの専門家ならびに、ナノ技術、合成生物学の分野活躍されている倫理の専門家に来日して頂き、貴重な講演と有用な議論をさせていただきました。分子ロボティクスの健全なる発展を推進するためには、このような議論はきわめて重要なので、今後とも国際シンポジウムを継続してゆきたいと考えています。
プログラムおよびアブストラクトについては、こちらをご参照ください。
オープンデータの活用例を競うLOD(Linked Open Data)チャレンジ2016において、渡邊健太君(M2当時)がアプリケーション部門で見事Dbpedia賞を受賞しました。
受賞テーマは修論で開発した推論システムPROLOQL Extensionを用いた医薬品添付文書のLODを利用した文書理解補助システムです。
医薬品添付文書は薬物の化合物名など専門用語が多く、普通の人が読んでもなかなか意味を理解することができません。本システムは人間がウイキペディアを使って専門用語を調べるように、推論システムが関連するWEBサイトを自動的に探して表示してくれます。
源氏絵研究の推進のために源氏絵データベースの整備を恵泉女学園大学稲本万里子教授と進めています。この一環として、2月23日に開催した準備会において河野文弥君が修論のテーマである「Deep Learningを用いた源氏絵の画像認識」について発表しました。
源氏絵に登場する貴族や女房の顔の特徴から流派をDeep Learningを用いて自動判定するという野心的な研究でしたが、狩野派・岩佐派と土佐派の間ではまあまあの識別精度が得られることがわかりました。河野君、短期間にうまく研究をまとめてくれてどうもありがとう。
情報系の研究だと、ともすれば、Deep Learningの学習法による分類精度の良し悪しに目が向きがちですが、何故その画像の分類が正しくできなかったのか、流派の本質的な特徴の違いは何なのかについて、美術史の専門家の意見を聞くことができ、大変参考になりました。
美術館関係者からは仮想現実(VR)技術に対する興味が示されたので、今後、源氏絵のVR化についても検討してゆきたいと思います。
2017年1月に開催した合同研究会に引き続き、2月11日に田町CICにおいて分子ロボティクス/分子ロボット倫理合同研究会を開催しました。今回のテーマは、「分子ロボティクスと医薬品開発との接点について」で、もし分子ロボットを医薬品として使うとしたらどのようなことを事前に考えておかなければならないのかについて、橋渡し研究(translational research)、規制科学(regulatory science)、医学倫理および先行する合成生物学の米国事情についてご講演頂きました。
基礎研究としての分子ロボティクス研究と実応用を前提とした医薬品開発とのギャップを理解するうえで大変参考になりました。改めて講師の先生方ならびに協力頂いたスタッフの皆様に御礼申し上げます。道のりは長いですが、一歩一歩進めることが分子ロボットの実用化には不可欠と思っています。
講演プログラムおよびアブストラクトについては、こちらをご覧ください。
分子ロボティクスと倫理問題との接点を探るために、分子ロボティクス研究会と分子ロボット倫理研究会の合同研究会を開催しました。日曜日での開催にもかかわらず、大勢の参加者に集まっていただきました。JST「人と情報のエコシステム」の企画調査として採択された標葉Gと小長谷Gの初の合同発表会となりました。企画ならびに講演を頂いた標葉先生、吉澤先生、田中先生ならびにサポートして頂いたスタッフの方々に御礼申し上げます。
夕方には参加者をグルーピングして議論するメディアカフェを開催しました。講演だけでなく、議論する場を作ることは非常に重要なので、このスタイルの研究会はまた開きたいと思います。
プログラムやアブストラクトはこちらをご覧ください。
人工知能学会合同研究会の一環として、下記のプログラムを分子生物情報(SIG-MBI)研究会とナチュラルコンピューティング(SIG-NAC)研究会とで共催しました。分子を使って「知能」を創る、自然物を使って「計算」する、という観点から議論できてとても楽しかったです。世話人をして頂いた萩谷昌己先生にあらためて御礼申し上げます。来年もまた共催しましょう。
第62回SIGMBI: 分子ロボティクスとマテリアルインテリジェンス(協賛: SIGNAC)開催のお知らせ
日時:2016年11月12日(土)
場所:慶応義塾大学 日吉キャンパス 来往舎
(プログラムのアブストラクトはこちらをご覧ください)
午前セッション:分子ロボティクスとその知能
10:00~10:30
小長谷明彦(東工大)「分子ロボティクスの現状と今後の展開について」
10:30~11:00
菅原研(東北学院大)「分子ロボティクスの新パラダイム」
11:00~11:30
鈴木泰博(名大)「学習する化学反応系について」
11:30~12:00
丸中愉太(東大)・萩谷昌己(東大)・大下福仁(奈良先端大)「群知能を用いた経路探索による機械学習」
午後セッション:マテリアルインテリジェンス — ものに宿る知能
14:30~15:15
堀尾喜彦(東北大)「脳型コンピュータハードウェアの動向と課題」
15:15~16:00
川又生吹(東北大)・礒川悌次郎(兵庫県立大)・Ferdinand Peper(NICT)「計算を行うゲルオートマトンの実現にむけて」
16:15~17:00
中嶋浩平(京大)「Physical reservoir computing for soft robots」
17:00~17:30
成瀬誠(NICT)「フォトニック知能:意思決定を実現する極限光技術の創造」
17:30~18:00
金成主(NIMS)「自然知能:新たな物理的計算能力の活用」
ハイライト
科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)が推進する研究開発領域「人と情報のエコシステム(HITE)」のプロジェクト企画調査に採択されました。
プロジェクト企画調査
「分子ロボット技術に対する法律・倫理・経済・教育からの接近法に関する調査」
代表者:小長谷 明彦 東京工業大学 情報理工学院 教授
新学術領域研究「分子ロボティクス」成果の広報活動の一環として、分子ロボティクスシンポジウム2016をタワーホール船堀小ホールで開催しました。
シンポジウムのテーマとしては、初日は分子ロボティクス技術を応用したドラッグデリバリシステムの可能性ついて、二日目は分子ロボティクス技術を応用した分子人工筋肉の可能性について、関連分野の先生の講演を中心に議論しました。
分子ロボティクス技術は未だ黎明期にありますが、未来に向けた可能性について幅広く議論できたと思います。招待講演を頂いた先生ならびに協力して頂いたスタッフの皆様に御礼申し上げます。
http://www.molecular-robotics.org/2016/09/symposium20161025/